GGG

プログラミング言語やソフトウェア開発について思ったことを書いてます

【感想】ワンランク上の問題解決技術

ワンランク上の問題解決の技術《実践編》 視点を変える「ファンクショナル・アプローチ」のすすめ

書経

本書で紹介しているファンクショナル・アプロ―チとはどういうものか気になった。

読書期間

2日間

紹介

著者は建設コンサルタントをされている方のようです。 ファンクショナル・アプローチなる手法を用いて大幅なコスト削減などを達成できたそうで その実績・経験に基づいてこの手法の実践的な使い方を紹介。

技術畑出身の方にとっては理解が早いと思います。 技術系ではない方にとっては視点の切り替えが必要なので難解に感じるかもしれません。

特にモノづくりをされている若手~中堅エンジニアの方にオススメしたいです。

職場の同僚や上司に読んでもらいたかった・・・・。

この本に出会うのがあと2-3年早かったら・・と思うとなんだか悔しい限りです。

日々の業務で「小手先」「場当たり的」な改善ばかりでは劇的な改善はできません。

ファンクショナル・アプローチとは?

問題解決のための手法の一つ。

見かけの現象や手段に惑わされずに、対象の機能面(本質的な目的)を見極める。

それは何のため、誰のため(に存在するのか)? を追求し改善点を探る手法。

英語ではValue Analysis Functional Approach と言うらしい。

そもそも問題解決とはどうやって行うのだろうか?

著者はI・S・S・U・E分解と呼んでいる。

問題解決のプロセスを分解すると5つに分解することができると語っている。 問題解決は下記のプロセスに沿って行う改善活動と考えて差支えなさそうだ。

  1. Identification --- 問題解決の認識
  2. Specification --- 改善点の特定
  3. Selection --- 解決手段の選択
  4. Utilization --- 解決手段の適用
  5. Evaluation --- 改善効果の評価

ファンクショナル・アプローチは、そのうちのStep1,2で使う手法の一つ。

一言でいうと、ファンクショナル・アプローチは『問題点を分析する技術』かな。

著者のコンサル業務の規模を考えると比較的大規模な改善に特に有効。 根本的に見直しをする際のアプローチとしてぜひ活用したい技術である。 もちろん自分のやりたいことの本質を見つけるためなどの日々の生活にも役立つ技術である。

GE社の「Lawrence Delos Miles」氏が提案したアプロ―チらしい。

書籍には実例を交えて1-5の全ステップを通してのやり方・考え方が記載されています。

いろいろな問題解決方法

  1. 仮説検証法
  2. 品質管理法 (トレーサビリティ)
    • (e.g.) 生産工場のラインで使われている。
  3. 情報分析法 (データ・マイニング法)
  4. 類型置換法 (テンプレート、モデル化)
  5. 機能分析法 (ファンクショナル・アプローチ)

思考のプロセス

イメージ

 - 見た目を分析→本質を見極めること。
 - 見た目の現象(=外側)の把握 → 本質(=内側)の把握
 - 細部を理解 → 全体の理解
  1. 問題点(≒事実)を書き出す
    • 手段から発生する現象を把握する
  2. 問題点が発生している機能(=システム)を実現する仕組みを理解する。
  3. 問題点が発生している機能(=システム)が提供する(本質的な)目的を考える。
  4. 目的を実現するための理想の改善案を考える。

 ※今まで行われていた"常識"、"当たり前のこと"から脱却することが重要である。

本質的な目的に到達したら、次は改善案のアイデア出し段階。 以降は一般的なモノなんじゃないかと思う。

感想

ファンクショナル・アプローチは技術畑から生まれた問題解決技術。

当方、エンジニアリング業務を長年やっているのだが、この考え方は非常にしっくりくる。

常にできているか?というと微妙なところ。まだまだ修行中の身。

というのも、これまでの職場では「対象の原理・原則を理解して設計する」ことを大切にしており本来どうあるべきか?が話されていた。

実際は、諸々の理由で「理想」の形にできず妥協案を探ることになる。

著者のような大規模プロジェクトではないが、日々の業務で「これは何のため?(=目的)」を意識することで このような考え方は習得可能で精練できると思う。

できるようになるためには、 「これは何のため?」問答を日々の生活の中でも続けることが重要だと著者も語っている。

これまでと同じ業務であっても考え方を変えるだけで、さらにレベルアップできると思う。 頑張っていきたい。

どうやら、著者はファンクショナル・アプローチのワークショップや講演会を行っているようだ。 機会があれば話を聞いてみたいところです・・・。

参考URL

Lawrence D. Miles - Wikipedia